初めての短歌。 高野公彦歌集『水苑』を読む。 噴水の涸口に

今回は、高野公彦歌集『水苑』の

「鳥の影」 に入ります。


P.25の1首。

噴水の涸口に日のあたりゐて鳥の影過ぐ旱列島



涸口には、かれくち と かながふられています。また、旱に
は、ひでりとふられています。

読んでいきます。
ふんすいのかれくちにひのあたりゐてとりのかげすぐひでり
れつとう

 涸口は辞書にはない言葉です。下の句に旱列島とありますから
噴水の水が止められて、蛇口といいますか、噴水の出口が乾いて
いるんですね。

 関東地方ばかりでなく、全国的に日照りが続いた夏がありまし
たが、平成七年ころもそうだったんですね。夏の暑い昼、鳥は
影をおとして、噴水の上の方を通り過ぎていったのですね。

目の前にある噴水から全国の旱を表現したうまい歌だと思います。
次回は、「鳥の影」 の二首目です。