春の日はしみらに射せり 高野公彦歌集『水苑』を読む。

高野公彦歌集『水苑』を読む。今回は、「紅にあそぶ」の
P.35の二首目です。

春の日はしみらに射せり欅の木木目の渦の輪の
ゆるぶまで

木目には、「もくめ」と読みがついています。
読んでいきます。

はるのひはしみらにさせりけやきのきもくめのうずの
わのゆるぶまで

しみらに はひっきりなしに、一日中というような意味ですね。
欅は、よく枝わかれすると辞書にあります。木目の渦の輪という
のは、枝打ちして、表れている渦の輪のことでしょう。

木目の渦の輪がゆるむと見えるくらいに、春の日は欅に射してい
る、ひっきりなしに。ということですか。

木目の渦の輪のゆるぶまで がいいですね。なんか、いい一日を
過ごしているようで、作者がうらやましくもあります。

今回で、「紅にあそぶ」は終わります。