「いろはからゑひの字消せば・・高野公彦歌集『水苑』を読む。
高野公彦歌集『水苑』を読む。今回は、「紅にあそぶ」の
P.34の二首目です。
「いろはからゑひの字消せばこの世なし」など
言ひしとふ酔ひて記憶なし
読んでいきます。
いろはからゑひのじけせばこのよなしなどいひしとふ
よひてきおくなし
いろは47文字は、「ん」を加えて48文字ですか。
「色は匂へど散りぬるを、我が世誰ぞ常ならむ、有為(うい)
の奥山今日越えて、浅き夢見し酔(ゑ)ひもせず」は
涅槃経にあるのですね。
酔っぱらいのたわごとと言えば、それまでですが。
ゑひの字けせばというのは、酒飲んで酔うことがなかったら
ということで、生きていること(この世なし)の意味がない、
というようなことを言いたかったのではないでしょうか。でも
酔って記憶がないんですね。
「紅にあそぶ」は、まだ続きます。