なきがらの我に添寝をして呉るる 高野公彦歌集『水苑』を読む。

高野公彦歌集『水苑』を読む。今回は、「紅にあそぶ」の
P.32の一首目です。

なきがらの我に添寝をして呉るる銀漢ありて寒し夜空は

読んでいきます。
なきがらのわれにそひねをしてくるるぎんかんありて
さむしよぞらは

銀漢は、天の川のことで、銀河という意味もあります。
この歌の場合、夜空は冬の夜空で、寒いのに違いありませ
んが、ただ寒いわけではありません。

なきがらは亡骸と書き、死体のことですから、普通は
亡骸に我が添い寝するというところを
なきがらが我に添い寝してくれるといっています。

そういう冬の銀河があって、寒いといっているわけですね。
大震災を詠ったつぎの歌ですから、これも大震災のことが
作者のなかにあって、詠んだものと思えます。