風呂の水 高野公彦歌集『水苑』を読む。「鳥の影」 

高野公彦歌集『水苑』を読む。「鳥の影」の続きです。
P.26 二首目。

風呂の水落せるあひだ部屋に戻りイエスを読めり死の
前後あたり

読んでいきます。
ふろのみずおとせるあひだへやにもどりイエスをよめり
しのぜんごあたり

落せるは「落とせる」と書くのが普通だと思いますが、
誤植でしょうか。と思いましたが、調べてみたら
「落す」も辞書にありました。

風呂の水落せるあひだというのは、
風呂に入るために、古い湯を捨てているのだと思います。
朝風呂かも知れません。イエスをというのは

勿論、聖書で、イエスの死の前後を書いているのは、
五つの書というか物語が新約にあったと思います。
聖書のなかでも映画にもよくとりあげられた

何度でも読んでみたくなるような場面でもあります。
わずかな時間にイエスを読んでいる作者の思い、興味、
心などが伝わってきます。