高野公彦歌集『水苑』を読む 教へ子のをとめと
高野公彦歌集『水苑』を読む。今回は平成七年の
薄やうの雲
の続きです。P21.2首目。
教へ子のをとめと飲めば酔ひ早し薄やうの雲月に明かりて
読んでいきます。
おしへごのをとめとのめばよひはやしうすやうのくもつきに
あかりて
おとめは、まだ二十歳(はたち)にならない少女でしょう。作者は
二人きりで飲んだわけではないでしょうが、歳のせいか、酔うのも
早くなったと、思ったのではないでしょうか。
老いに対する詠嘆が「をとめと飲めば酔ひ早し」には隠れている
ようです。薄やうの雲が月に明かりてというのもいいですね。
また、上の句と下の句の対応がとてもいいと思います。
「薄やうの雲」は、まだ続きます。