雪の夜のコップの・・・・・・ 高野公彦歌集『水苑』を。

 高野公彦歌集『水苑』を読む。P18.一首目。

 雪の夜のコップの中におほぞらのありてかすかに鳥渡りゆく

読んでいきます。

 ゆきのよのこっぷのなかにおほぞらのありてかすかにとりわ
 たりゆく

 コップの中におほぞらのありて と上の句と下の句を
つないだことで、かすかに鳥渡りゆく といううまい表現が
できたのだと思います。

コップの中のおほぞらという発想がいいですね。作者は
実際に鳥の影をコップに見たのかもしれませんが。 
昼間でしたら、コップに鳥が写るということもあると思い

ますが、雪の夜ではありえない、仮想の世界でしょうか。
でも、妙に現実的に見える世界ですね。
読む人によって違う世界が見えてくる歌だと思います。