高野公彦の歌 歌集『水苑』から。短歌初心者の方へ。

高野公彦歌集『水苑』を初めから読んでいこうと
思います。

あとがきに『天泣』につづく第九歌集とあります。
水苑は、すいゑんと読みます。

水苑
 平成七年
コップの中のそら
P15
ねむる鳥その胃の中に溶けてゆく羽蟻もあらむ雷ひかる夜

まず、読んでみます。
ねむるとりそのいのなかにとけてゆくはありもあらむらいひかるよる


夜行性の鳥は、 フクロウ、ヨタカ、ゴイサギ、コウモリ等
で、その他の鳥は、夜が来ると眠るんですね。
羽蟻は、しろありとくろありがあるそうですが、

この歌の場合、シロアリかもしれません。
あるHPに、

1)雨の多い時期に大量発生することがあるらしい(大雨の前日など)
2)クロアリは、実はシロアリの天敵だそう。
などと、書いてありました。

雷ひかる夜というのは、雨はまだ降っていないのかもしれませんが、
雨が近づいている夜ではないかと思います。

雷が光っていて雨も降りそうだと作者は感じたのでしょう。
そしてなんだか羽蟻が出そうだなと思ったのかもしれません。
でも、羽蟻がでそうな夜だといっても

読者には具体的にイメージできません。そこで、眠る鳥の
胃のなかに、羽蟻を出してきたのではないか、と思うのです。

羽蟻が胃のなかにいるかもしれない、と言っているだけで
イメージが読者のなかでひろがるのですね。なかなか
まねのできる手法ではありませんが、私もまねをして

歌を作りたいと思います。