仰向きになきがらあれば漂流 高野公彦歌集『水苑』を読む。
仰向きになきがらあれば漂流の小舟のごとき柩とおもふ
高野公彦歌集『水苑』を読む。今回は、「左手」の
P.42の二首目です。
読んでいきます。
あおむきになきがらあればひょうりゅうのこぶねのごと
きひつぎとおもふ
柩のなかには、亡骸が仰向けに安置されているの
ですが、その柩が海を漂流している小舟のように
おもえる。というんですね。
漂流の小舟というのは、海のなかを漂っている
のですから、作者は、不安定さ、あやうさなどを亡骸に
感じているということだと思います。
「左手」はまだ続きます。