老化する身を覚まさむと 高野公彦歌集『水苑』を読む。
老化する身を覚まさむと時折は歯をみがくのに左手使ふ
高野公彦歌集『水苑』を読む。今回は、「左手」の
P.42の一首目です。
読んでいきます。
ろうかするみをさまさむとときをりははをみがくのに
ひだりてつかふ
日々老化している体を覚醒しようと時折、歯磨きするのに
左手を使っていますというんですね。
いつも左手で歯をみがくのでなく、たまに左手でする
といっているのですが、そこが短歌になっているのだと
思います。読者としては、左手をたまに使うくらいで、
身が覚まされるのだろうかなどと思うのです。だが、
そこにこそ、この歌のはかなさがあるのかも知れません。
次回も「左手」の続きです。