夜更け卵を片手割りして 高野公彦歌集『水苑』を読む  

高野公彦歌集『水苑』を読む。今回は、「左手」の

P.41の一首目です。

夜更け卵を片手割りしてラーメンの上に落とせり中年
中期

読んでいきます。
よふけたまごをかたてわりしてらーめんのうえにおと
せりちゅうねんちゅうき

夜更け卵を と初句が7音になっています。なんでも
ない歌でも、字余りにしないと作れなかった歌という
ことでしょう。字余りが、歌の余情を引き出している

のかもしれません。
夜更けにラーメンに生卵を落として食おうとしている
中年の歌ですから。

次も「左手」のつづきです。