徹夜明けの五時 高野公彦歌集『水苑』を読む。

高野公彦歌集『水苑』を読む。今回は、「紅にあそぶ」の
P.31の二首目です。

徹夜明けの五時ラーメンを煮て食へり神戸くづれてなほ
燃ゆるころ

読んでいきます。
てつやあけのごじらーめんをにてくへりこうべくづれて
なほもゆるころ

仕事に限らず、締め切りのある業務は、徹夜してでもこなさなけ
ればなりません。その徹夜あけの五時、ラーメンを煮て、食った
というのですが、大震災の神戸がまだ燃えているころだったと

いっています。文字通り、大震災でしたから、頭の中にいつも
神戸、大阪、淡路があったということですね。


ラーメンを煮て食うという個人の日常のなかに、大震災という
非日常が食い込んでいるという、構図ですか。神戸くづれてなほ
燃ゆるころ、は作者の悲しみの表現だと思います。