高野公彦歌集『水苑』を読む。 「紅にあそぶ」

今回から「紅にあそぶ」に入ります。
高野公彦歌集『水苑』を読む。 P28 「紅にあそぶ」の
一首目。

オリオン座夜ごと冷えつつ無造作にコップのみずに生きゆく
ポトス

読んでいきます。
おりおんざよごとひえつつむざうさにこっぷのみずにいきゆ
くぽとす

「紅にあそぶ」から、季節は冬に入ります。オリオン座は冬の夜の星座
です。ウィキペディアによると、

ギリシャ神話では、

巨人オリオン(オリオン座)は海の神ポセイドンの子だった。大変に
力のある猟師だったが乱暴で困ったので、大地母神ガイアがさそり
(さそり座)を使い、毒針で刺し殺した。

その後2名とも天にあげられ星座となった。オリオン座は冬の間、空
高いところで威張っているが、さそり座が東の空から上るとこそこ
そと西の空に沈む。

さそりは名高い狩人オリオンを一撃で刺し殺したくらいであるから、
天にあがっても監視つきである。

さそり座が天上で暴れた場合は、隣にいるケンタウルスのケイロン
(いて座)が射殺することになっている。

などという話になっている、ということです。また、日本では、
ベテルギウスを 『平家星』 リゲルを 『源氏星』 と呼んできた
ことなども作者高野は、思いつつ夜ごと冷えゆくオリオン座を

見ているのですが、部屋にあるポトスは、コップの水だけで、
無造作に生きているというんですね。北斗七星の次に有名という
か人によく知られたオリオン座とポピュラーな観葉植物のポトス

との

とりあわせの妙が感じられます。長い歴史と時間を感じさせる
星座と今を生きているポトス。時間のひろがりを感じさせる
一首です。