初めての短歌 高野公彦歌集 『水苑』を読む。

短歌初心者の方に。初めての短歌 高野公彦歌集 『水苑』を読む。
 
 高野公彦歌集 『水苑』今回から 薄やうの雲
です。P20. 

傷のある木の幹立てりゆつくりと傷を閉ぢゆくひかりと時間

読んでいきます。
きずのあるきのみきたてりゆつくりときずをとぢゆくひかりと
じかん

傷のある木が立てり、でなく木の幹としたことで
傷のある幹をイメージできます。ひかりと時間としたことで
傷を閉じていく時間(年月)だけでなく、情景をイメージで

きる構成となっています。ゆっくりととあるので長い年月を
想像できます。

 幹の傷に、作者が心の重い傷を投射していることも想像さ
せる歌ではないかと思います。ひかりと時間がやはり高野だ
と感心させられます。

今回は、
 薄やうの雲 (平成七年)の一首目でした。